442 魔法が解けた朝に ジュリア・ジェイムズ

魔法が解けた朝に (ハーレクイン・ロマンス)

魔法が解けた朝に (ハーレクイン・ロマンス)

アレクシーズは傍らの女にうんざりして、別れ時だと悟っていた。だが、今夜抱ける身体がないのは寂しい。その時、やって来たウェイトレスにアレクシーズは目を奪われる。アレクシーズと目が合って茫然とした態の彼女はトレイを落とし、女のドレスを汚してしまう。罵る女を化粧室に追いたて、アレクシーズは退散するが、歩道を歩く姿に目を止め衝動的に車を止める。キャリーは失敗のせいで仕事をクビになった。アレクシーズから送って行くと言われ、断るが、彼の魅力に抵抗することなど無駄だった。アレクシーズはホテルの部屋にキャリーを連れて行き、彼女を手に入れた。これは全て夢の出来事。贅沢な食事、きらびやかなドレスと宝石。アレクシーズは世界中を回る彼の仕事に、彼女を同行させ、様々な場所に連れて行った。無邪気に喜ぶ彼女の顔を見るのが楽しかった。アレクシーズの母は、資産家の娘をアレクシーズと結婚させようと必死だった。母から呼ばれたアレクシーズは一案を案じ、キャリーを同伴させることを決める。露出の多いドレスを着させられたキャリーは、異様な雰囲気を感じた。翌朝、キャリーはアレクシーズの義弟から真相を聞かされ、自分が利用されたことを知る。頭の軽い売春婦の役割を。その夜、キャリーは出血で倒れ、妊娠がわかる。アレクシーズは結婚を口にした。アレクシーズの母は、謝礼をするから、中絶しろと要求する。夢は覚めたのだ。現実に戻ったキャリーは、すぐにでもイギリスに帰りたかった。安静の甲斐なく、キャリーは流産し、心を閉ざしたキャリーはアレクシーズを見ようともしなかった。アレクシーズは彼女を手放した。自分がした行為を恥じ、後悔に苛まれ、母に怒りも感じていた。やがて、アレクシーズはキャリーが特別な存在であることを認めた。自分の人生に彼女がいなければ、意味がない。しかし、ロンドンにもう彼女の姿はなかった。捜し回るアレクシーズの脳裏に、以前聞いたキャリーの故郷の名前が甦る。車を飛ばして、アレクシーズはマーチェスターに向かった。そして、偶然歩道にキャリーを見つける。アレクシーズはキャリーを捕まえ、自分の真摯な気持ちを打ち明けた。愛している、戻って来て欲しいと。だが、キャリーは受け入れる様子がなかった。その時、店員が現れ、彼女をドクター・リチャーズと呼んだ。キャリーは亡き父の後を継ぎ、大学で研究職を得ていた。ロンドンでは執筆のために、ウェイトレスの仕事で生活費を稼いでいたのだった。学者の両親を持ち、象牙の塔で育ったキャリーには学問以外の知識は持ち合わせていなかった。だが、それを無教養だと誤解されているとは、皮肉な話だった。ブロンドに惹かれる男性は、博士号を持っていると言うと、幻滅する。アレクシーズはキャリーさえいれば何もいらないと言った。彼女の居たい所に住み、一緒にいられれば会社さえいらないと。キャリーは、やっとアレクシーズを愛していることを認めた。


違う世界の二人が、一目惚れするという話。