372 炎に触れて ヘレン・ビアンチン

炎に触れて (ハーレクイン・クラシックス)

炎に触れて (ハーレクイン・クラシックス)

父にラフを紹介されて、チェルシーは恋に落ちた。ラフは機会を無駄にすることなく、チェルシーに考える隙も与えずに結婚を決め、チェルシーを自国に連れ帰った。幸せは永くは続かなかった。彼の過去の恋愛や、政略結婚であったことがチェルシーを傷つけ、二人の間の溝は深くなって行った。父はチェルシーには何も言わずに、会社と彼女をラフに託したのだ。その父が一年後、亡くなった時、チェルシーは生まれ育った家に留まることを決断する。父の残した会社の存続にチェルシーは寝る間も惜しんで働いた。社長であるラフとは連絡を取り合ってはいたが、会話は仕事の話のみだった。チェルシーはいずれラフが乗り込んで来ることはわかっていたが、それは二年後突然起こった。ラフは誰かが会社の株を買いあさっていると言い、会社を救うためには二人が寄りを戻したことを印象付けることが必要だと話した。ラフにかき立てられる自分の心が怖い。チェルシーは泡立つ心を必死で隠した。彼は数々の女性陣とゴシップを賑せながらも、まだ指輪ははめたままだ。愚かな期待と不信感がせめぎ合う。彼と愛を交わしたい。だが、身体を許したら負けてしまう。会社の為を思って、チェルシーは逃げ出したい気持ちを抑え込んだ。精神的な苦悩がチェルシーを憔悴させたが、ラフはさらに追い込んで行く。限界を感じたチェルシーはため込んでいた想いを全て吐き出した。ラフはその時を待っていた。彼女の疑惑を晴らし、真実を明らかにすることが彼の望みだった。ラフはチェルシーが唯一の自分が愛する女性なのだと告白する。


パパもさ、隠し事せずに娘の意向を聞くべきだったよね。まぁ、良かれと思ってやったことだろうけど、たとえ親であろうと、個人的なことを勝手に決める権利はないはずだよ。相手が感情を持った一個の人間であることを忘れちゃうのねー。