366 もう一度愛して リンダ・ハワード

もう一度愛して (MIRA文庫)

もう一度愛して (MIRA文庫)

サリーとライは幼馴染だった。ライの叔母の家とサリーの家は隣同士で、サリーが18歳の時、サリーの両親とライの叔母が相次いで亡くなり、一人ぼっちになったサリーにライはプロポーズした。サリーはどうしてこんなゴージャスで世慣れた彼が自分のような冴えない娘に目を止めたのか、さっぱりわからなかったが、彼を愛してしまっていた。報道の仕事をするライは、度々危険な地域へと出かけ、心配のあまりサリーは仕事を変えるよう懇願し、責めたが、その度に喧嘩は激しくなり二人の間の溝は深くなった。激しく罵るサリーにうんざりしたライは捨て台詞を残して家を出て行き帰って来なくなり、捨てられたサリーは自己改革の決心をする。カレッジに通い、自信がつくにつれてサリーは立ち直り、手紙を添えて送られた生活費を送り返したが、ライから連絡が来ることはなかった。サリーはチャンスをものにし、記者として頭角を現すようになり、ライが出かけずにはいられなかった気持ちが理解できるようになった。7年が過ぎ、サリーは変身を遂げた。髪を伸ばし、ほっそりと痩せたサリーだったが、再び男性と親密になることには興味がなく、仕事が楽しくて充実していた。しかし、務める新聞社が売りに出され、社長に納まったのがライと聞いてサリーは途方に暮れた。だが、この仕事を失いたくない。サリーはライが自分に気付かないよう祈った。ライは激怒する妻に辟易し、彼女を懲らしめようとした。彼女が許しを乞い、彼に懇願することを待ったが、彼女は生活費を送り返し、会いに来ようともしなかった。ずるずると7年が過ぎ、彼女を探そうと思った時には彼女の姿は消えていた。ライは社で見かけたサリーに欲望を感じ、興味を持ったが呼びとめ間近で見た時、探していた妻であったことに驚く。サリーはライを赤の他人のように扱い、すぐにでも離婚すると告げたが、ライは離婚するつもりはなかった。サリーはライが所有欲を刺激されただけだと理解したが、彼にまた傷つけられる危険を冒すつもりはなかった。ライはサリーが海外に出かけることを禁じ、仕事を取り上げた。その上、他で仕事ができないようにすると脅迫し、彼女の欲望を目覚めさせた。サリーは彼の思い通りになってしまう自身の身体が憎かった。忘れたはずなのに、今だ彼を愛している。蓄えを現金化し、逃げ出そうと決意したサリーは、ライがアパートからサリーの荷物を彼の家に運び出したことを知って怒りを感じ、打ちのめされる。他のどんなものを諦めても、書き貯めていた彼女の物語は諦められない。取り戻すために彼に会うことは敗北を意味していた。ライは自分の人生に妻を取り戻した。二人の生活は満ち足りたかに見えたが、サリーはライを信頼することはできなかった。ライがデートしていた美しいモデルが家を訪れ、妊娠を告げた時、サリーはまた逃げ出した。サリーは空家になっていた両親の家で悩み苦しみ、悲しみに耽った。秋が過ぎ、クリスマスが近づきサリーに闘志が甦った時、彼女はどんなことをしてもライを勝ち取ろうと決意する。家の前でライと再会した時、ライは戻って来てくれと言った。きみなしでは生きられないと。二人は抱き合い、初めて愛していると告白した。


傲慢で、自分を守るために相手を傷つけてきた男。無理やり押さえつけるだけでは、欲しいものが手からすり抜けて行くことにやっと気付いて、ようやく本心を明かす。愛してなきゃ許せないよねぇ、まったく。