363 星をなくした夜 サンドラ・ブラウン

星をなくした夜 (MIRA文庫)

星をなくした夜 (MIRA文庫)

汚職のため獄死した父の罪を償うために、ケリーはモンテネグロで働いていた。8人の子供たちを戦火から救出する計画を立てたケリーは遂行させるために戦士を必要としていた。市街の酒場に娼婦のなりで出かけたケリーは、店内を見回して一人の男に目を付けた。ほとんど泥酔状態の男はケリーの誘いに乗り、ケリーが盗んだ車に同乗し眠り込んでしまう。安全な森に逃げ込んだケリーは彼から武器を取り上げ目覚めを待った。やがて、目覚めた男はケリーの話を聞いて、笑い出した。傭兵だと信じた男は、有名なカメラマンだったのだ。武器弾薬と信じ込んでいたバックの中身はカメラだった。ケリーは彼に承諾させるために、多額の報酬と顛末の撮影権を持ちだす。リンクは彼女の瞳に惑わされて、こんな茶番に巻き込まれた自分に腹を立てたが、見捨てることはできなかった。ケリーはリンクが自分を欲しがっていることはわかっていた。子供たちが彼女をシスターと呼ぶことで、リンクがケリーを尼僧だと勘違いしたことを訂正しなかったのは、自分が拒みきれないとわかっていたからだった。二人は惹かれ合っていた。しかし、子供たちの事が最優先だった。多大な困難を経て、二人は8人の子供たちを自国に連れ帰ることに成功する。友人の牧場に落ち着いた後で、リンクはケリーの素情と尼僧ではないことを知って怒りにかられ、彼女を罰するため想いを遂げようとする。ケリーはリンクを愛してしまったことに気付いていた。だが、彼が欲しいのは身体だけだ。ケリーの中に押し入った時、彼女が初めてであったことに気付いたリンクはさらなる罪悪感に囚われた。自分は彼女に相応しくない。それでもなお、リンクはケリーが欲しかった。友人夫婦の愛の形と出産を目にしたケリーは自分がすべきことに気付く。引き取り手のなかった幼児の里親になることを決意したケリーは、自分がリンクにとって手軽な遊び相手でしかないことを認めた。リンクは去って行こうとしていた。空港への道で、友人の夫から彼らの馴れ初めを聞いたリンクは、ケリーを抱いた時、何の予防措置も取らなかったことに気付いて愕然となった。それに、結婚していないケリーが里親として認められることの困難についても。Uターンしたリンクはケリーに結婚しようと言った。両親がいれば有利だと言うリンクに、ケリーは娘にそんな重荷は負わせられないと答えた。妊娠しているかもしれないという問いには、兵士にレイプされる危険を考えて避妊はしていたと言った。追いつめられたリンクはやっと愛していると告白した。ケリーはリンクの胸に飛び込んだ。


面白かった!スリル満点のアドベンチャー・ロマンです。