353 ボスと秘書の十二カ月 エミリー・ローズ

ボスと秘書の十二カ月―キンケイド家の遺言ゲーム〈1〉 (ハーレクイン・ディザイア)

ボスと秘書の十二カ月―キンケイド家の遺言ゲーム〈1〉 (ハーレクイン・ディザイア)

社長秘書として抜擢されたタラは、その息子ランドに惹かれ、やがて二人は付き合い始める。しかし、情事のあと、タラの愛の言葉を聞いてランドは去って行った。ランドの去った後で、母の病気が発覚してタラは看病に忙殺されるようになった。悲嘆に暮れるタラに、社長は同居しパートナーになってくれるのなら、医療費や看病に助力しようと申し出た。一度は承諾したタラだったが、愛する男の父親から愛撫されるのは耐えられないことだった。拒絶したタラは社長の寝室から出て行くが、そこにいたのはランドだった。ランドは金持ちの夫を見つけるために何でもする女だと罵倒した。タラは会社を辞め、母の看病をしたが、やがて母は亡くなった。社長の申し出を蹴ったことで、母の寿命を延ばすチャンスを失くしてしまったことをタラは悔やんだ。
社長が病死した後、その遺言にランドが会社に戻ることと、一年間秘書としてタラを雇うこととあって、ランドは憤りを覚える。しかし、拒絶すれば、全てを失うことになる。必死で会社を守ってきた弟妹のために、ランドはタラに会いに行く。タラは母から後悔しないように生きろと言われ、このチャンスに賭けようと決意する。ランドは今だタラに感じる欲望に嫌悪していた。業績が落ちている部署に偵察に出かけた二人は、間に立ちふさがる壁を感じていた。タラは汚職に気付き、聞いたランドは調査を始める。母が愛する夫の不実に悩み、自殺したことと、ランドの最初の恋人が別れを告げた直後自殺を図ったことが、キンケイド家の呪いを現実視させていた。父とそっくりな自分を愛した女は不幸になると、ランドは思い込み、タラと別れたのも彼女を守るためだった。しかし、彼女は自分を愛していると言った後で、父に身を任せたのだ。ランドは妹に電話して、母が精神を病んでいたこと、自殺しようとした恋人は親への不満から狂言自殺を謀ったに過ぎないことを知って気持ちが軽くなる。呪いなど気にすることはなかったのだ。即座にランドはタラを家に連れ帰り、思うまま彼女を抱いた。タラは自分の全てを彼に捧げ、身体で愛を語った。ランドは終わった後で、タラに彼女を許すと言った。タラは彼が自分を信じようとしないことに気付き、自分の敗北を知った。突然家を追い出されたランドは訳がわからなかった。許すと言っているのに、なぜ怒るんだ。遺言の一年を全うすることをタラに頼もうとしていたランドは、それからタラがただの上司と部下として過ごそうとすることに不満を覚える。それは、最初自分が望んでいたことだった。汚職をしていた人間が判明して、警察に報告したあとで、ランドは弟から諭される。初めて、ランドはあの夜、自分が見たものが、自分の想像していたものではなかったのではないかと疑いを持った。そして、タラが自分にとってかけがえのない人であることを痛感する。ランドは出会った時から、彼女を愛していたこと、彼女を不幸にしないために別れたことや、二度と失いたくないと思う気持ちを告げ、プロポーズした。


キンケイド家の呪いの話。あと、弟と妹の話が続くそうです。