348 アマルフィの庭 エイミー・アンドルース

アマルフィの庭 (ハーレクイン・イマージュ)

アマルフィの庭 (ハーレクイン・イマージュ)

カーチャは8歳の時から幼い弟妹の世話をさせられた。母は男に会うため留守が多かった。ある日、妹がストーブで大火傷を負い、カーチャの心に傷を残した。二十歳になって看護婦として独立したあとは、家族の経済はカーチャが背負うこととなる。ベンは婚約者と兄に裏切られ、イタリアを離れた。ベンは優秀な医者だったが、裕福でプレイボーイであることにカーチャは腹立たしさを感じた。しかし、兄夫婦の事故死の知らせはベンの仮面を剥ぎ、癒しを求めるベンにカーチャは身を捧げた。ベンは兄の残した事業を継ぐためイタリアに帰り、しばらくしてカーチャは妊娠に気付く。中絶の予約をしたものの、カーチャは診察室に足を踏み入れることができなかった。自分に母親になる資格はない。考えた末、カーチャはベンに子供を託そうと決意する。金銭的な問題ではない。子供に溢れるほどの愛を与えて欲しい。食べるものにも事欠く生活でさえ、母の愛さえあれば辛くはなかった。しかし、自分は母の愛など知らず、子育てにも失敗した。ベンの病院で働く手はずをつけ、彼の身近で働き始めたカーチャは、彼が素晴らしい母親を持ち、称賛すべき仕事をしていることを知った。カーチャがベンの子を宿していることを知ったベンは結婚を口にしたが、カーチャの気持ちは固かった。周囲にその子供がベンの子であることを疑わせないため、二人は同居を始めた。カーチャは子供に愛着を感じないよう務めていたが、超音波の映像を見た時、もはやこの子を手放すことはできないと思い始める。そして、最悪なことにカーチャはベンを愛してしまっていた。自分を守るために、カーチャはベンから離れる決心を固める。小さなアパートを見つけ、ひっそりと暮らし始めたカーチャは堂々巡りの思いの中で、答えを見つけられずにいた。しばらくして電話をかけてきたベンは、高級ホテルにカーチャを呼び出し、要求を飲まなければ法廷で争うと告げた。戦う力のないカーチャは承諾するしかなかった。ベンは帰って行くカーチャの後ろ姿を見ながら自問自答していた。婚約者に裏切られた時、ベンは問いただすこともせずに逃げ出した。今度は、勝ち取るために最善を尽くそう。カーチャのアパートを訪ねたベンは、カーチャがイタリアを去ったあとで彼女を愛していたことに気付いたと告白した。カーチャは驚くが、彼の心を受け止め、自分も愛していることを告げた。


前半、悲しい話で盛り上がってきてたのに、後半であっさりと心の傷を乗り越えちゃって、ええ〜って感じだわ。ろくでなしの母親は都合よく幸せになっちゃうし・・・。