334 花嫁は片思い? ベティ・ニールズ

花嫁は片思い? (ハーレクイン・クラシックス)

花嫁は片思い? (ハーレクイン・クラシックス)

ベアトリスは交際中のトムに不満だった。野心家で打算的な彼はベアトリスを利用して、成功への道を望んでいるだけで、とても自分を愛しているとは思えない。断り切れずに食事に出かけたが、トムはベアトリスの言葉など全く聞こうとはせず、一人で将来の計画を並べ立てた。家まで送られたベアトリスは、去って行く車をみながら惨めな思いに泣いていたが、突然腕を掴まれ驚いた。友人のパーティーで紹介されたヘイスだった。礼儀正しいとは言えないヘイスの口調は、彼女を腹立たしく感じさせたが、なぜか忘れられない印象の男だった。ヘイスは言葉巧みに彼女の部屋に入り込み、泣いていた理由を吐露させた。そして、彼女を食事に連れて行き、満腹にさせると返って行った。ベアトリスの心は揺れていた。トムと結婚したくはないが、このままずっと一人ではいたくない。愛し愛される結婚でなくても、それなりに幸せになれるのかもしれない。ベアトリスの働く病院での講演の後、ヘイスは再びベアトリスを食事に連れ出した。しかし、それだけだった。ベアトリスはヘイスに子供がおり、再婚を考えていることを知って落胆を感じる。試験的な各国の交流のため、オランダに赴くことが決まったベアトリスはヘイスに会えるかもしれないと思った。優秀な医師として世界中を飛び回る彼は、近くに来る度ベアトリスを誘った。オランダでの仕事が落ち着いた頃、ヘイスは自宅にベアトリスを連れて行った。彼の幼い娘はベアトリスを気に入った。その日、ベアトリスはヘイスにプロポーズされる。愛し合っている訳でもないし、お互いを知っているとも思えない。突然のプロポーズに、ベアトリスは悩んだ。トムは相変わらず、ベアトリスが拗ねているだけだと勘違いし、計画を遂行させようとしていた。自国に帰って、ヘイスの声を聞いた時、ベアトリスは彼を愛してしまったことに気付いた。もう返事を引き延ばすことはできない。ベアトリスはヘイスのプロポーズを受けた。いつか彼が自分を愛してくれる奇跡を願って。結婚し、家の用事を忙しくこなしながら、ベアトリスはヘイスとの間の壁を感じていた。ある日、遅くなるとかけて来た電話の向こうにグラスの音と女性の声を聞いたベアトリスは、嫉妬にかられ深夜帰って来たヘイスに癇癪を起こすが、彼は冷ややかだった。ベアトリスの誤解だったのだ。真実を知って謝罪しようとしたベアトリスの言葉をヘイスは聞こうともしなかった。彼の家を空ける日の多いまま舞踏会の日がやってきた。ラストダンスが始まった時、ベアトリスをフロアに連れ出したヘイスは、あの夜ベアトリスが激怒した理由を尋ねた。嫉妬だと、ベアトリスは答えた。友達夫婦では、もう嫌なのだと。ヘイスは物陰にベアトリスを連れて行って、熱いキスをした。出会った時からこうしたかったと言って。彼はベアトリスの心が自分に向けられるのを待っていたと言った。ベアトリスだけを愛していると。


まぁ、辛抱強い男だわ!普通耐えられないでしょ?そんな禁欲生活。