332 流れ星に祈って リンダ・ハワード

流れ星に祈って (MIRA文庫)

流れ星に祈って (MIRA文庫)

ロウムに恋するサラは、いつか彼が自分に目を止めてくれる日を夢見ていたが、ロウムはサラの親友ダイアンと出会った途端恋に落ち、結婚する。叶わない恋に身を焦がしながら、サラは自分が産めなかったロウムの子供たちを愛した。サラは愛に満ちた家庭に憧れていたが、自分が一人の男性しか愛せないことに気付いて、全てを諦めた。ある日、不幸な事故で、ダイアンと二人の息子が亡くなり、ロウムの家庭は崩壊した。悲しみに暮れるロウムは、陰鬱な世界に閉じこもったが、やがて前に進む決意をし、家を売り、家族の思い出を葬り去る決心をする。ダイアンの持ち物の中に、サラと過ごした学生時代の遺品を見つけたロウムはサラに連絡を取った。ダイアンの思い出の品を引き取りに行ったサラは、ロウムの深い悲しみを改めて知らされる。ロウムの攻撃的な言葉をサラは静かに受け止めた。ロウムはサラを欲しいと秘かにずっと思っていたが、妻を裏切ることはできなかった。しかし、もう妻はいない。ロウムはサラと付き合い、欲望を解き放ったら、忘れてしまおうと思っていた。人事異動でサラはマックスの秘書となり、マックスはサラに目を止めた。誘いをかけるマックスにサラはやんわりと断りの言葉を告げたが、それはロウムの独占欲に火をつけた。サラに自分のものだと烙印を押したい。ロウムはもう待てなかった。サラは拒むことなく彼を受け入れた。サラの家の床の上で彼女を奪った後、ロウムは得体の知れない怒りにかられる。サラは初めてだった。しかし、混乱するロウムは、どうしてサラが今まで処女だったのかも、その守り続けていた純潔をあっさりロウムに捧げた理由さえ考えつくことはできなかった。一晩考えた末、ロウムはサラにプロポーズした。サラはロウムを愛するあまり、どんなことも受け入れようと決意する。結婚した夜、ロウムはダイアンとの結婚式を思い出し、サラを抱くことができなかった。サラは一人のベットで静かに涙を流した。サラは仕事を辞め、店を買い取った。ロウムはサラを一人占めしたかった。彼女の身体だけではなく、心までも望んでいた。しかし、サラはいつも凛とした風情を崩そうとはしなかったために、閉じた本のようだった。サラが流感にかかった時、彼女は初めて本心を垣間見せる。サラがずっと自分を愛していたことを知って、ロウムは喜びを感じた。そして、サラも細かな気遣いを見せるロウムに、希望を感じていた。サラの体調が戻り、日常が返ってきて初めて、サラは病気の間ピルを飲んでいなかったことに気付いた。せっかく、彼との関係が快方に向かいかけているときに問題を起こしたくはなかった。そして、病院に行ったサラは妊娠を知らされる。プロポーズした時からロウムは子供はいらないと言っていた。想像した通り、ロウムは怒り狂った。そして、彼女に中絶を迫った。ロウムはサラを愛していたが、子供を許すことはできなかった。サラは既におなかで育みつつある命を愛していた。二人はお互いに、自分か子供かどちらかを選べと最後通牒を突きつけ、ロウムが負けた。ロウムはサラを手放すことなど考えられなかったが、子供については関知しないと告げた。サラを取り巻く友人たちは、彼女を支え、甘やかした。サラはそれを感謝しつつ、いつかロウムの心が癒される日を待ち望んでいた。出張先で、サラの入院を聞いたロウムは、ダイアンの妊娠中自分がした手助けや心遣いを、全くサラに与えなかったことに後悔した。骨盤が小さく、高齢で初産のサラには、危険が伴っていた。サラを失いたくない。ロウムは、サラに付き添ったが、生まれた娘を見ようとはしなかった。サラは一切を一人でやり遂げた。しかし、仕事を再開し疲れ果てたサラは眠り込み、ミシーの泣く声に気付かなかった。ロウムは、苦痛を感じながら娘の部屋に向かった。自分にそっくりの小さな娘は、何の躊躇もなく父親を受け入れた。ロウムは娘を抱きしめたまま、泣き崩れた。ロウムの嗚咽に目覚めたサラは、彼の悲しみを思って胸が締め付けられた。だが、これは彼の戦いだった。サラにできることは何もなかった。翌朝、サラはロウムの穏やかな気配に気付いた。二人はいつもと同じ一日を過ごし、夜には愛し合った。ミシーの泣き声が聞こえると、ロウムはサラを止め、自分が娘を連れに行った。食欲を満たす娘をみながら、ロウムは奇跡が起きたことを知った。サラの愛が自分を光の当たる場所に連れ出してくれたのだ。


310の「美しい標的」を生むことになった作品です。リンダさまのベストセラー作品だそうです。こんな一途な女性なんているの?だけど、一瞬で家族がいなくなって、一人ぼっちになる恐怖はわかるなぁ。