331 幼い恋を捨てた日 サラ・クレイヴン

幼い恋を捨てた日 (ハーレクイン・ロマンス)

幼い恋を捨てた日 (ハーレクイン・ロマンス)

ダニエルと出会ったのは6歳の時だった。長兄サイモンの親友として度々家に訪れるダニエルは、レインの尊敬とあこがれを受けていたが、それは次第に恋心に変化して行った。レインが17歳の時、サイモンは山で遭難し、命を落とす。派手好きな母親は、経済的に苦しいという理由から、家政婦をクビにし、レインに学校を辞めさせて家事をさせるようになった。母は若い恋人を作り、家を売ってスペインで新生活を始めようと計画していた。話を聞きつけて、ダニエルはレインにプロポーズした。レインは驚くと共に、夢が叶った喜びを感じた。式の後、自室で着替えていたレインは、亡きサイモンの妻から手紙を手渡される。それは、ダニエルがサイモンに送った手紙だった。サイモンに何かあった時、レインを頼むと言われたことに、不本意だが彼女の面倒は見ると書いてあった。レインはダニエルから愛していると言われたことがないことを不安に思っていた。ダニエルは兄の遺志に応えようとしただけだったのだ。ショックに茫然とするレインはハネムーン先の部屋で突然我に返った。義務から抱かれるなんてまっぴらだ。レインは震える声でこの結婚は間違っていたと告げた。ダニエルと同じベットでは眠れないと。ダニエルはレインをなだめようとしたが、結局は婚姻解消に同意した。彼が欲しい、でも二度と見たくない。レインは友人アンディに誘われて、フロリダで貸船業を始めた。仕事は順調だったが、アンディはレインからセックスを拒まれたことに腹を立てる。アンディはレインに無断で会社を売り払い、お金を持ったまま姿を消した。何もかもうまくいかない。仕方なくレインは兄ジェイミーと共有していたフラットに戻ることにした。くたくたになってドアを開けると、そこにはダニエルがいた。ジェイミーは賭博に手を出し、仕事もクビになって逃げ出していた。他に行くところのないレインはダニエルとシェアするしかなかった。ダニエルは結婚した訳と、急に心を変えた理由を知りたがったが、レインは答えなかった。彼を見るといまだに欲望に身体が疼くことを知られたくはない。ある日、レインは部屋に女性がいることに気付く。彼女はダニエルのシャツを着ていた。ダニエルの恋人でなけば、友人になれたかもしれないとレインが思ったほどベリンダは感じ良かった。レインはダニエルに抱かれる決心をする。これは一生で一度の恋、もうチャンスはないのだからと自分に言い聞かせて。素晴らしいひと時を過ごした翌朝、ランチの誘いを残してダニエルは出かけてしまっていた。ランチの場所に向かう途中で、レインはベリンダと出会い、彼女が妊娠していることを知る。父親を奪うことなどできない。ダニエルはレインがランチに来なかった理由を知りたがった。目を逸らしたまま、レインは拒絶の言葉を探し、怒ったダニエルは部屋を出て行った。数日後、レインは伝言を渡される。行ってみると、待っていたのはアンディだった。彼はダニエルから脅されてお金を返しに来たと言った。受け取って帰ろうとしたレインをベリンダが呼びとめた。彼に会って欲しいという言葉にレインは断りきれずに足を向けると、そこにいたのはダニエルの花婿付添人だったガイがいた。ガイは侮蔑も露わにレインがダニエルを見捨て、彼はこの国から出て行くと言った。レインは思わず、私は女性として彼に愛されたかっただけだと答えたが、ガイはダニエルはレインに夢中だったと言った。混乱する気持ちのまま、フラットに戻ったレインは、ソファで酒を飲むダニエルを見つける。レインは答えを知りたかった。尋ねると、ダニエルはレインが17歳の時に恋に落ちたと答えた。サイモンはダニエルに兄の代わりを務めるよう言い、レインの恋人になることは許そうとしなかった。しかし、レインがいつまでも幼い妹ではなく、大人になったことを知り、ダニエルにレインを愛する許可を与えていたのだ。そのやり取りの一部を、意地悪な女に利用されたのだった。レインは苦しみを誰にも何も言わず、自分一人で抱え込んでいたと思っていたが、そうではなかった。この二年間、ダニエルにずっと辛い思いをさせていたのだ。しかし、ダニエルはレインを抱き寄せ、その埋め合わせをする時間はたっぷりあると言った。


幼い頃から見守ってきた少女が、美しい女性に成長し、恋に落ちた彼は、彼女が若すぎる故に自制した。しかし、それが彼女の疑惑を生み、破綻を迎える。プロポーズの時に、愛しているって言ってれば問題なかったのにねぇ。しっかし、この母親とサイモンの妻って美人だけど意地悪っていう役どころが、お伽話っぽいね。