322 あの暑い夏の日に キャサリン・ジョージ
- 作者: キャサリンジョージ,Catherine George,山田信子
- 出版社/メーカー: ハーレクイン
- 発売日: 2006/08
- メディア: 新書
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
10年後、ルーシーは村のアンティーク・ショップで細々と生計を立てていた。未婚の母になった事を責めることもせずに、支えてくれた父も亡くなり、息子のトムは寄宿学校に行き、ルーシーは一人だった。雪が降り注ぐ中、道に迷ったルーシーは側溝にタイヤを落とし、歩いて家に帰ったが、家は悲惨な有り様になっていた。電気はつかず、水道管は破裂し、重い雪で天井が落ちて来る。ショック状態のルーシーを訪ねてきたのは、彼女が最も会いたくない男だった。ジョナスは彼女の抵抗を抑え、自宅に連れて行った。家と車の修理にはお金がかかる。しかし、ルーシーには工面する手だてがなかった。ジョナスはトムを跡取りにするため、結婚すれば彼女の窮状を救うと言った。ルーシーはジョナスが自分に欲望を感じていることも、トムを欲しがっていることも知っていたが、愛されている訳ではないことに耐えられるかどうかわからなかった。しかし、トムは歓迎した。二人は結婚し、家族となったが、ルーシーの感じる憂鬱は増していった。そんなある日、トムが怪我し、血液型からトムがジョナスの息子であることがわかってしまう。どうすべきか、問題を棚上げにしたまま、体調の悪いルーシーを置いてジョナスは取材旅行へと旅立って行った。ルーシーの体調が悪かったのは妊娠のせいだった。ルーシーはその知らせをジョナスに書き送ったが、返事はなかった。しばらくして、ジョナスが乗った飛行機が事故に合ったと知らせが入る。遺体は無残な状態だった。彼の死を信じられない。気丈にルーシーは娘を出産した。ルーシーは家族と過ごせた10年をジョナスから奪ったことを深く後悔した。そして、クリスマスの前日、ジョナスが帰ってきた。ルーシーは泣きながら彼の胸に飛び込んだ。ジョナスは死にかけた時、絶対に生き延びて愛する家族の元に帰ることを誓ったと言った。二人はお互いの愛を確信した。ルーシーは初めて、自分にとって男性はジョナスだけだったことを告白した。
物語の進め方が秀逸。ぼちぼちホットです。美しいが、金とセックスしか望まない婚約者を疎ましく思いつつ、弟のガールフレンドに懸想する自分を抑えきれない。そして、弟に嫉妬し、ルーシーを傷つけたことを悔やみ、酒に溺れる。彼女に許しを乞い、彼女を手に入れたい。そのチャンスは10年後訪れた。