319 最後のメッセージ アビゲイル・ゴードン

最後のメッセージ (ハーレクイン・イマージュ)

最後のメッセージ (ハーレクイン・イマージュ)

母が亡くなってから父は悲しみに暮れるばかりだった。イザベルは一人寂しい日々を過ごしたが、ロスは優しく慰めた。やがて、イザベルはロスに恋するようになり、勉学が疎かになり始める。イザベルが医師の道を選んだことを喜んでいた父は、ロスを脅迫して村から追い出そうとした。ロスはイザベルの寂しい気持ちをわかってくれるよう話したが、彼は耳を貸そうともしなかった。イザベルはロスに自分を連れて行って欲しいと泣いてすがったが、ロスは黙って去って行った。誰も自分を気にかけてくれる人はいない。孤独の中で、イザベルは悟った。
7年後、イザベルは父の診療室で働いていた。父のパートナーが隠居してしまった上に、父も仕事への情熱が感じられず、イザベルは孤軍奮闘していた。代診の医師を探すことを何度も言ったが、父は軽くいなすばかりだった。そんなある日、イザベルはロスが帰ってきたことを知った。ロスの母親の体調が悪いためらしかったが、父はロスに診療室を譲るつもりでいることを明かした。ロスが帰ってくるまで、全く知らされていなかったイザベルは激怒した。葬り去ったはずのロスへの思いは、いまだにイザベルの中にあり、また7年前のような惨めな事態を繰り返したくないという決心は揺るぎはじめる。ロスはイザベルを傷つけたことを忘れられず、彼女を心配していたが、立派な医師として成長したイザベルに感心した。しかし、イザベルが喜んでいないことに落胆も感じていた。そして、イザベルの父が娘に何の思いやりも与えなかったことに憤りを覚えた。頑ななイザベルにロスは少しづつ近づいて行った。やっとロマンチックなレストランでの食事の約束をした時、イザベルは父のパートナーだった女性からとんでもない話を聞いてしまう。デートもしない娘を心配して、父がロスを呼び寄せたというのだった。また、父に踊らされるなんてまっぴらだ。怒ったイザベルはロスとは仕事以外では近づかないと決意した。夏が終わる頃、ロスの母が急死する。ロスは突然イザベルの家の戸口に現れ、彼女に慰めを求めた。ロスは葬儀で家族の車に乗って欲しいと言った。父に自己満足して欲しくはなかったが、イザベルはロスの助けになりたかった。ロスの母は最後の時、ロスにメッセージを残していた。自分に正直になれ。ロスはイザベルを求める気持ちに正直になろうと決め、指輪を買い素敵なレストランを予約した。しかし、家にいると言ったイザベルはどこにもいなかった。イザベルはレスキューに要請され、洞窟に閉じ込められていた。怪我を負った青年は重傷ではなかったが、イザベル一人では運び出せない。救助を待っていたイザベルは、やって来たロスの姿に驚いた。4人は無事に洞窟から逃れ、イザベルはロスの車に乗り込んだ。ロスはイザベルを愛していることを告げ、プロポーズした。イザベルは涙ぐんでイエスと答えた。


初恋って叶えられないもんなんだけどね。