289 砂漠は魔法に満ちて ペニー・ジョーダン

砂漠は魔法に満ちて (ハーレクイン・ロマンス)

砂漠は魔法に満ちて (ハーレクイン・ロマンス)

ホテルの廊下で、出会いがしらにぶつかり、二人は欲望にかられ唇を重ねた。周囲のざわめきで我に返ったサムは、部屋に逃げ帰ったが、自分が信じられなかった。忘れようとするものの、彼の記憶はサムを悩ませた。アラブ三国の砂漠の地図の作成のため、雇われたサムはキャンプで彼と再会する。なんと彼はダーラーンの国王だったのだ。ビアハムは母を亡くした時の喪失感から、誰も愛するまいと誓いを立てていた。しかし、サムに対する欲望は激しく自制心を怪しくする。隣国のエミール王が何か企んでいると知らされて、ビアハムはサムに疑いを持った。サムは女の武器を使って、自分に取り入ろうとしていると信じ込もうとしたビアハムは、サムを連れて、川の干上がった地形の調査に出かけた。頭では否定しても、身体が求め合うことを拒むことはできず、二人は抱き合った。ビアハムはサムを放したくない気持ちと、国を守らなくてはいけないという義務感から、彼女に愛人になれと告げた。サムが自分の愛人になれば、エミールに情報を流すことはできなくなる。サムは屈辱感を覚えたが、愛するビアハムと離れることはできなかった。サムが承諾すると、ビアハムはサムを愛人だと宣言し家に連れ帰った。しかし、サムを調査していた弟から、サムは潔白だという知らせを受け、ビアハムは彼女を解放すべきだと思う心と求める心がせめぎ合った。スパイだと疑われていたことを知って、サムは傷ついた。騙すためにセックスを利用しただけで、自分を求めていたわけではなかったのだ。サムは部屋に戻ろうとして毒蛇に咬まれてしまい、死にかける。ビアハムは青ざめていくサムを見て、彼女を愛していることを否定できなくなった。ビアハムはつきっきりで看病したが、サムが回復すると遠ざかった。ビアハムは自分の弱さが怖かった。サムに何かあったら生きてはいられない。国王としてそんな事態は避けるべきだ。イギリスに帰ると言うサムを、車に乗せ飛行機の手配をして、彼女を見送ったビアハムは自分の間違いに気付いた。サムのいない人生など価値がない。サムは不安ではなく喜びなのだと。ビアハムは運転手に電話をかけ、サムを連れ帰るように告げた。ビアハムの抱えていた不安を知って、サムはビアハムを抱きしめ、愛していると言った。


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