286 誰にも言えない メグ・オブライエン

誰にも言えない (MIRA文庫)

誰にも言えない (MIRA文庫)

キャリーは酒飲みの父親から虐待を受け、教会で助手をしていたクリスに相談したが、クリスは彼女の信頼を裏切って、キャリーに性的な悪戯をし始める。無力なキャリーは逃げることができず、心に深い傷を負った。キャリーは怯える少女を閉じ込めたまま大人になり、34歳で成功を掴む。キャリーが書いた本がベストセラーになり、土地での成功者として故郷から講演依頼が舞い込む。エージェントはさらなる栄光への足がかりとして、出席を主張した。しかし、故郷に到着したキャリーは、地元の新聞で講演者の中にクリスの名前を見つけて動揺する。殺してやりたいというほどの怒りを感じながらも、再会したくないという思いは強かった。
ニッキーは14歳の少女が妊娠し、自殺した事件を捜査していた。ニッキーは、クリスが幼女虐待をしていると確信していたが、逮捕に足る証拠を見つけられずにいた。バーでキャリーを見止めたニッキーは、家族が経営する宿屋を彼女に紹介した。会場となる教会を訪れた時、キャリーは自殺した少女の妹テスが次の標的にされていることに気付く。ニッキーは、キャリーの行動を気付き、捜査の邪魔をするなと言ったが、キャリーは拒んだ。クリスと対決したキャリーは、自身の行動を否定しようとするクリスに、必ず法の裁きを受けさせると告げた。
クリスの支持者である議員の元に、一人の女性から幼い頃クリスに性的虐待を受けたという訴えが寄せられ、クリスを盗聴していた議員にクリスとキャリーの話を聞かれてしまう。議員は自身の失脚を恐れ、キャリーの暗殺を思いつく。祖母の見舞いに行ったキャリーは、コップの水を飲み幻覚に襲われ気を失った。
クリスは昔祖母の愛人だった。愛人と息子、愛していた二人の男性がキャリーに行った仕打ちを知って、祖母は復讐を決意する。祖母が姿を消したという知らせを受け、キャリーは教会に急いだ。キャリーが部屋に飛び込んだ時、祖母は拳銃を持ち、クリスは胸を撃ち抜かれていた。咄嗟にキャリーは拳銃をもぎ取りバックに突っ込んだ。ニッキーが身元引受人となり、宿に帰った数日後、キャリーにテスから電話がかかってくる。彼が呼んでいるから行かなければいけないというテスの言葉にキャリーは間違いを知った。
ニッキーは、盗聴しながらロンというクリスの助手を務めていた男が決定的な間違いを犯すのを待っていた。ロンはテスを膝に乗せ、ブラウスのボタンを外し、手を差し入れた。しかし、さらなる暴挙を始める前にキャリーが止めた。キャリーは激しい怒りに駆られ、ロンを罵り彼の罪を告白させようとしたが、成功と金を掴みたいロンは彼女に反撃した。危険を感じたキャリーはバックから拳銃を取り出し、構えた。キャリーを失いたくない。必死でドアを叩き壊し、駆け込んだニッキーにキャリーは銃を向けた。キャリーの目には、隠れていた部屋のドアを壊して入って来た父親の姿が見え、キャリーは父を打った。しかし、血を流し倒れたのはニッキーだった。留置所でキャリーはもう生きてはいられないと思ったが、それを救ったのはニッキーの母と妹だった。銃弾は筋肉を貫通していたが、内臓を損傷してはいなかった。
キャリーはセラピーを受けることを義務付けられ、千時間のボランティアを課せられたが、裁判にかけられることはなかった。
ニッキーは、キャリーを大切に思っていることを手紙に書いて送った。しばらくして、故郷に帰ってきたキャリーは自分の心はほぼ回復できたが、対人関係での恐れがまだ残っていると言った。しかし、顔を赤らめたキャリーの反応に力を得て、ニッキーは彼女の気持ちを聞き出す。恋に夢中な少女みたいな気分と聞いて、ニッキー微笑んで彼女を抱きあげた。


重い話です。4人中3人の女児が性的虐待を受けているって話には、愕然とした。私も父には、言葉での性的虐待を受けていた。当時は、どうして自分がこんなに怒りと傷心を感じるのかわからなかったけど、今ならわかる。無力で無垢な少女を暴力と親の権限とやらで抑えつける。そういえば、鼻血が出るまで殴られたこともあった。夏休みに二日続けて友人と会っただけで、遊び回っていると言いがかりをつけられて。ほとんど、家にいたのにね。後妻とセックスしたいために、8時には寝かされ、朝は6時に起こされた。冬だって拭き掃除にお湯なんて使わせてもらえなかったし、夫婦喧嘩の種だって言われてた。一番許せなかったのは、20歳頃、処女かどうかを父が確かめようと眠っている私の身体に触ったこと。その時、私はまだ未経験だったけど、父が処女じゃないって言ったのを、夢うつつで私は聞いていた。男は、男に生まれただけで偉いんだと、いつも言っていたよ。風呂場を覗かれるなんて、しょっ中だった。一人暮らしを始めて、少しづつ私は自分を癒して行ったけど、まだ完全には回復してないかもしれないと思う。