279 顔のない恋人 ビバリー・バートン

顔のない恋人 (シルエット・ラブストリーム―ラブ&ミッション (LS143))

顔のない恋人 (シルエット・ラブストリーム―ラブ&ミッション (LS143))

婚約者に裏切られて、話を聞いてくれる友人を探してパブに行ったキャリーは、一人の男性に引き寄せられる。苦悩を露わにした彼にお互いの悲しみを打ち明け合い、すっかり酔っぱらった彼をタクシーで送って行こうと申し出たキャリーは、求められるまま一夜を共にしてしまう。キャリーはそれで妊娠してしまうが、一人で産むことを選択した。二年後、キャリーは彼が父親として相応しい人間かどうか見極めるため、彼の会社で働くことを決めた。
バークは面接した時からキャリーに惹かれるものを感じていた。バークはキャリーを初対面だと信じていた。それと言うのも、あの夜の記憶は顔の見えない恋人との一夜でしかなかったせいだった。バークは何とか顔を思い出そうとしたが、その部分だけが全く思い出せなかった。キャリーは会社が武器の不法売買をしている事実を掴み、息子に犯罪者の父親は要らないと考え始めていた。バークは政府の調査員として犯人を罠にかけようとしていた。しかし、用心深い犯人が会社に現れ、取り引きを持ちかけた時、キャリーは立ち聞きをして犯人に囚われてしまう。キャリーを助けるためバークは彼女を自分の婚約者だと嘘をついた。犯人は取り引きは結婚後にすると言って立ち去った。バークは身を守るため結婚するしかないと説得した。
しかし、キャリーの息子を見た時、自分の子供だと確信したバークはキャリーがあの夜の女性だということが信じられなかった。
犯人は逮捕され、妻と子供のために政府機関を辞めることを決めたバークだったが、謎は解決されぬままだった。
ある日、息子の姿が見えなくなり、誘拐を恐れるキャリーが取り乱すのを見て、バークは痛いほどの悲しみを感じた。あの夜、バークは父親が亡くなったことを知らされた。病床でバークを呼んだ父。しかし、妾腹であったバークは呼ばれることなく、父は亡くなって行ったのだ。悲しみに押しつぶされそうになったバークにキャリーは泣きなさいと言った。あの夜のように。突然、バークの脳裏にあの夜の彼女が甦った。バークは、自分が弱虫のように泣き崩れたことを思い出し、それを忘れたかったのだと知った。二人は抱き合って泣いた。
その時、隣の敷地から子供の集団がやって来るのが見えた。その中に二人は自分たちの息子の姿を認め、走り寄った。迷子になった息子を、その子供たちが面倒見てくれたことを知って二人は喜び、礼を言った。二人はお互いにあの夜、恋に落ちたことを話し合い、愛を深めた。


あんまりホットじゃなかった。ちょっと、信じ難い話でしたね。