259 青ざめた月 ペニー・ジョーダン

青ざめた月 (ハーレクイン・クラシックス)

青ざめた月 (ハーレクイン・クラシックス)

婚約パーティーの翌朝、昔の恋人の家から出てくるところを婚約者の伯父ルークに目撃されてしまったエマは、婚約者リチャードに暴露されて婚約破棄されることを恐れ、策略を思いつく。エマはいとこのナターシャにエマがその夜着ていたドレスを着てパーティーに出て欲しいと言った。恋人の家から出てきたのは、ナターシャだったことにして欲しいというのだった。ナターシャはそんな挑発的なドレスを着たことなどなかったが、押し切られてしまう。パーティーの席上、男性からは思わせぶりな視線を、女性からは避難の眼差しを浴びせられ、うんざりしたナターシャは庭に逃げた。ルークを見た途端、ナターシャの身体は張り詰めた。自制心を働かせ、ナターシャはあの夜、ルークが見たのは自分だと言い、エマも同調した。エマへの怒りを押さえつけ、なんとか役割をこなしたナターシャだったが、ルークの嘲りに満ちた言葉に傷ついた。彼は危険だ。しかし、そう思ってもルークを忘れることはできなかった。結婚式の後、ルークから食事を誘われた時も、ナターシャは断った。ちょうど、ナターシャに大きな仕事が舞い込んだこともあり、彼を忘れようとナターシャは仕事に打ち込んだ。改装が進む邸宅に一人滞在していたナターシャは、車の音を聞き、雇い主レオだと信じ、鍵を開けたが、立っていたのはルークだった。もはや、ナターシャはルークを愛していることを否定することなどできなかった。しかし、ルークが欲しいのは欲望を満たす身体だけなのだ。ナターシャは、誰とでも寝る女と蔑まれることと、男性との経験が全くない真実の姿を知られて憐れまれることと、どちらがより屈辱的なのかわからなかった。始め、恋人から仕事を世話してもらったと非難したルークは、ナターシャの仕事を見て考えを改め謝罪した。二人は同僚として食事しようとレストランに向かったが、楽しい時間も、隣の座席の女性にルークが目を止めるまでだった。ナターシャは、ルークが自分と父を捨てた母を憎むあまり、女性全般を母と同類だと考えていることを知った。慰めを与えるため、ルークを抱きしめたナターシャは、ルークに触れた途端に理性が消えうせた。しかし、ルークが自分を経験豊かだと思っていることを思い出し、留まるべきだと言った。罵り、ルークは去った。レオとエマの母が結婚を決め、二人の幸せを見ながら、ナターシャは惨めだった。改装の仕上げをしながら、業者と会話していたナターシャは戸口に立つルークに気付いた。話の断片を聞いて、レオとナターシャが結婚すると誤解したルークは、冷酷な言葉で非難した。しかし、エマの母が現れ、花嫁は自分だと言うと、ナターシャは居たたまれなくなって、部屋から走り出た。孤独を求めて庭に出たナターシャは、ルークは私を愛していないとつぶやいた。ルークはナターシャを愛していると後ろから声がした。振り向くとルークがいた。ルークは謝りたいと言った。しかし、ナターシャは出会ったことも全て忘れてしまうのが一番いいと答えた。敵としても、友人としても恋人としても、傍には居て欲しくないと。立ち上がろうとした時、ルークが「夫としても?」と聞いた。ナターシャの足から力が抜けた。愛している。結婚して欲しいとルークは言った。思いやり、信頼することを教えて欲しいと。成長したルークを感じて、ナターシャはこのルークとなら人生を共に歩んでいくことができると確信した。


まぁ、一目惚れの話ですね。全くホットじゃないです。思いこみの激しい傲慢な男性に魅せられてしまった女性の話でした。