事故の知らせを受け、慌てて駆けつけたナターシャは妹ナターリャがかすり傷程度の怪我であることを知る。そして、彼女を助けようとした彼女の婚約者は重傷だった。ナターリャは、せっかく裕福な男を射止めたのに障害者なんて願い下げだと言い放ち、指輪をベッドに放り投げ、姿を消した。双子の妹のあまりの言い草にナターシャは激怒したが、重病人を見捨てることはできず、妹の命を救ってくれた礼はしなくてはと決心した。しかし、医療関係者に婚約者と誤解され、婚約者に捨てられたことを最初に知るのは本人であるべきだと、しばらくナターリャになりすますことを決める。目覚めた
チェイスにナターシャと呼ばれて、またナターリャが自分の名を使っていたことを知ったナターシャは、
チェイスに見つめられ恋に落ちてしまう。
チェイスが愛しているのはナターリャだとわかってはいても、ナターシャは
チェイスが欲しかった。二人は惹かれ合い、退院後、すぐ結婚することが決まってしまう。打ち明けなければと思いつつ、
チェイスを失うことを恐れて、ナターシャは告白することができなかった。言いだせないまま、ナターシャは
チェイスと結婚した。8か月後、妊娠したナターシャは幸せを噛みしめていた。しかし、
チェイスが相談を受けた顧客の妻がナターリャだったことで、全ては明るみに出てしまう。どんなに懇願しても
チェイスの怒りは納まらなかった。子供のために離婚はしないと
チェイスは言った。子供の母親として家に留まり、子供の世話さえすれば何をしようと自由だと告げ、寝室から出て行った。
チェイスは自分を愛しているはずだと、ナターシャは思い、情熱を分かち合えば元の愛し合っていた二人に戻れるのではないかと儚い望みをかけていた。
チェイスの両親が暮らす広大な敷地の中の
チェイスの秘密の場所を見せて貰った時、ナターシャは
チェイスに身を任せた。たまった鬱憤を晴らすように、激しく抱き合った後、
チェイスの瞳にナターシャは後悔を見た。その時、ナターシャはもう二度と元には戻れないのだと悟った。
チェイスから離れて、走り出したナターシャを
チェイスは追ったが、ナターシャは足を滑らせ崖を落ちて行った。
病院で目覚めた時、ナターシャは子供を失ったことを感じた。全てを失ったナターシャから感情は消えていた。何もかも、もうどうでもよかった。翌日退院すると、ナターシャは車に荷物を積み込み、
チェイスの両親に別れを告げた。引きとめようとする彼らに、ナターシャは真実を告げた。だから、
チェイスはもう自由だと。
数日間、貸別荘で、ナターシャはうつろな時間を過ごしていた。生きがいを失くしたナターシャにはすべきことも目的も何もなかった。
チェイスが現れた時、ナターシャはなぜ彼が自分を追ってきたのかわからなかった。
チェイスは何の感情も示さないナターシャに、憤りを覚え、いかに自分が彼女を苦しめてきたかに気付いた。
チェイスに愛していると言われ、ナターシャの胸に痛みが噴出した。愚かなプライドのせいで、彼女を罰せずにはいられなかったと
チェイスは言った。自分を恥じ、罪悪感に打ちひしがれる
チェイスに、ナターシャは「あなたを許す」と言った。愛しているからと。赤ちゃんはそうなる運命だったのだと。二人は抱き合い涙を流した。ひとしきり泣いた後、ナターシャは過ぎてしまったことを悔やむのはやめようと
チェイスに言った。争うより愛し合いたいと。
チェイスは、ナターシャを幸せにすると誓った。
すごく胸が痛む話でした。これで立ち直れるナターシャは凄いと思うよ。弱い人間なら一度心を閉ざしたら、また受け入れられるのに、もっと時間が必要じゃないかと思うもん。あんまりホットじゃないです。