201 白い狼の伝説 リンゼイ・マッケンナ

白い狼の伝説 (シルエット・スペシャル・エディション (N747))

白い狼の伝説 (シルエット・スペシャル・エディション (N747))

38歳のデインは、脳腫瘍の為発熱と頭痛に悩まされていた。脳の中心にできた腫瘍は取り除くことができず、医師には半年の命と言われて、デインは絶望にかられていた。医師がふと漏らした言葉に希望を見出したデインは、ナバホ保留地に向かうことを決める。しかし、目指す土地を前にタイヤが泥にはまり立ち往生することとなった。車を出て、丘から見下ろす白い狼を目にした時、デインは、脳腫瘍になって以来、毎夜夢に出てきた狼だと確信した。恐ろしさに立ちすくむデインは、その丘に女性の姿を認め、不思議な感覚を覚えた。
エリンは10代で結婚し、夫からDVを受け離婚していたが、それ以来白人男性は避けていた。ヒーラーとして多くの治療に携わって来、彼が来ることを予感してはいたが、エリンの心の傷は彼を拒絶していた。
エリンはデインに、ヒッチハイクで元の世界に帰るか、歩いてエリンの家まで行くか決めろと言った。デインにとって元の世界に戻ることは死を選ぶことだった。微かな希望にしがみついてデインは、エリンの住居まで歩いた。ひどい頭痛と吐き気に襲われながらも、家にたどり着いたデインは、エリンに迎え入れられ、癒しを受けた。嘘のように頭痛が消え、白い狼の夢も見ずにぐっすり眠ったデインは、エリンの笑い声で目覚める。朝日の中のエリンは美しく、その姿をずっと見ていたいとデインは思った。エリンは滞在するつもりなら、自分のことは自分でしろと言った。デインは薪を割り、太陽に当たりながら大工仕事をこなした。デインは素晴らしく気分がいいと思い、発熱がなくなっていることに気付いた。
エリンはデインと対峙する時、頭に浮かぶシーンが原因ではないかと予測した。デインは8歳の時孤児院に預けられ、そこで暴力を受けていたのだ。デインは誰にもその話をしたことはなかった。エリンに促され、その忌まわしい記憶を思い出したデインは、ビジネス界で自分がその男と同じことをしていたと気付いた。
デインは、エリンを愛していると感じ、彼女に相応しい人間になりたいと切望した。デインは本来の自分を取り戻すため、自分の世界に戻って行った。
残されたエリンは、デインを思ったが、知る手だてはなかった。
3ヶ月後、戻って来たデインは、エリンにプロポーズした。
デインの腫瘍は消えていた。


ホンマかい!って話ですね。信じる者は救われるって?うーん、夢のような話でございますわ。