73 妻となる報酬 エバ・ラトランド

妻となる報酬 (ハーレクイン・イマージュ (I1469))

妻となる報酬 (ハーレクイン・イマージュ (I1469))

コンピューター会社開発部門の責任者だったリーサはトレイにリストラされた。最後の出勤の日、リーサは見知らぬ男とエレベーターで乗り合わせる。以前エレベーターの故障で閉じ込められた経験のあるリーサは一人でエレベーターに乗ることができなくなっていた。しかし、無情にもまたエレベーターが故障し、リーサはパニックを起こしてしまう。混乱し、しがみつくリーサを黙らせるため男は唇でリーサの唇を塞いだ。彼が非常電話で話す間もリーサは半狂乱状態だったが、エレベーターが動きだし、無事に三十四階につくなり謝罪と礼を口にし、立ち去った。
トレイは遺言により二人の幼子を託される。独身でホテル暮らしをしていた彼は子供たちのためにナニーを探し家を見つける。掃除を依頼されたリーサはトレイが自分を首にした男でありエレベーターで出会った男であることに気付く。ナニーの仕事ぶりに不満のある彼女はアパートの家賃を倹約するためトレイに住み込みの家政婦を志願した。混乱状態だった家の中が落ち着き心地よい住まいになってトレイは安堵し、彼もエレベーターで会った女性がリーサであることに気付いた。惹かれあう二人だったが主従の関係を崩そうとはしなかった。ある日トレイを狙うチェイスが現れ、彼を手に入れ、子供たちを厄介払いしようと目論む。子供たちを愛するようになっていたリーサは自分が養子にしようと思い立つがトレイの両親が必要だとの言葉に言い出せなくなってしまう。ある日、子供が熱を出し、病院に連れて行った彼女は子供たちのフルネームも病歴も何も知らず、何の権限も持っていないことに気付かされる。トレイから委任状が届き無事に手術を終えチェイスのフィアンセだという言葉を聞いてリーサはますます二人を養子にする決意を固める。急いで帰ってきたトレイは子供を気遣い憔悴したリーサを目にして彼女が子供たちを愛していることを確信する。「整理統合を考えている。」という彼の言葉にリーサはいぶかる。チェイスの父の会社を辞めたトレイは、仕事の片腕と家政婦と母親と妻を彼女に依頼したのだった。報酬は彼の愛で。


胸が熱くなりました。愛情のない家庭で育った友人がトレイの家で垣間見た愛情溢れる家庭を子供たちに与えて欲しいという遺言に、良い里親を見つけてやりたいという想い。リーサが与えてくれる家庭の温かさに心地よさを感じてはいても、彼女にフェアであろうとし、子供たちにとっての幸せを考えるとそれしか道はないように思える。葛藤するトレイはリーサのチェイスに対する嫉妬を感じてようやく一番の解決方法を見つけ出す。全然ホットじゃないけど、いい話です。