46 愛と悲しみのギリシア ルーシー・モンロー

スキャンダラスな母と決別してアメリカで新しい生活をしていたヒロインは母と義父の死によってギリシアを訪れることとなった。奔放だった母に同情の声はなく、彼女が幼い頃暖かく接してくれた義父の甥もに冷たい扱いを受け、もう二度とこの地は踏むまいとの決意を固める。
ヒーローは父と慕っていた叔父の死に打ちのめされていた。悪い妻のせいで起こった事故だったことは間違えようがなく、その責めを、つい娘に浴びせてしまい自己嫌悪を覚える。遺言が開封されて叔父が財産のほとんどを彼に残していたことが明らかになり、彼女には本の全集と母の身の回りの品だけが残された。貴重な品だけを彼に渡し、その他のものは全て寄付するという彼女の言葉を素直に受け取れない彼はまたしても彼女を傷つけてしまう。しかし、彼女に惹かれている彼は帰るという彼女を引きとめ彼女が欲しいと打ち明ける。17歳の頃から彼を愛していた彼女は一縷の希望に縋りつく。婚約者に裏切られたことのある彼は叔父の例もあり、彼女に溺れそうになる心を叱咤して欲しいのは身体だけだと自分に言い聞かせる。ついに一夜を共に過すことになったとき彼は彼女に結婚する気はないと告げる。彼女は胸の痛みを抑え承諾するが、素晴らしい一夜を過した後彼に出血がなかったからバージンであったと言ったのは嘘だと責められ、やはり母と同類だと言われたことに愕然として、彼を信頼し愛したことが間違いであったと気づく。
母親に罵倒されて、自身の間違いに気づいた彼は彼女に許しを乞おうとするが、もうすでに彼女は姿を消していた。優秀な私立探偵を雇い彼女を探すが見つけることができなかった。

2週間後、彼女は体調不良から医師の診察を受け、心臓に欠陥があることがわかる。放射線治療を勧められて、心配になり検査を受けてみると妊娠しており、放射線治療はできないと言われてしまう。数日後、職場で気を失い救急車で病院に担ぎ込まれたことで、彼女は気弱になり自分に何かあったときに子供を見てくれる人が必要だと考えて彼に電話する。話を聞いた彼はすぐさま飛んでくる。結婚すべきだという彼の言葉を彼女は拒絶し、出産までの時間だけ彼の保護を受けると告げる。もう彼を信頼することはできないという彼女の言葉は無理もないと思えたが、彼は強引に結婚式を挙げてしまおうと計画をたてる。彼の家に到着した次の朝に突然結婚式だと教えられ彼女は激怒して、彼は思い留めざる得なかった。彼女に求愛するためヴィラを譲渡しようとするが彼女は受け取らなかった。彼女のための薔薇も宝石も彼女の心を動かすことはできないと彼は途方に暮れる。彼女の身体を気遣うあまりに彼女に触れずにいたことが、彼は子供だけを求めているという誤解を呼び抉れていく。一月余り出張で離れていたことでお互いの求める気持ちが耐え切れないほどになり、彼女は彼に呼ばれるまま彼の滞在場所へと向かう。彼を求める気持ちに彼女は屈し結婚を承諾するが、正しいことをしている自信がなかった。結婚式のあと、彼にベッドに運ばれて震える彼の言動の全てが彼女を愛しているように感じられ、愛してると彼に告げる。彼の告白を受け相思相愛だったことがわかり幸せに包まれる。


ホットです!この作品は37で紹介した「ギリシアの聖夜」の前作で、ギリシアの大富豪の兄弟の兄の方の物語になります。「聖夜」の方はこれの数年後の弟の話になってます。