妄想その1(真一の幸運な夜)

真一は熱さと痛みで飛び起きた。身体が燃えるようだ。
ベッドから滑り降り朦朧としたまま着ていたものを剥ぎ取った。
頭が割れるように痛い。何があったんだ???
床に蹲ったまま果てしなく永く感じられる程の数分が過ぎた。
次第に痛みが治まってくるうちに真一は気づいた。
身体が元に戻っている。何故?
真一はゆっくり立ち上がり自分の身体を見下ろした。
立ち上がると同時にベッドの中の様子も目に入った。
「蘭!」
真一はしばらく蘭の寝顔を眺めて思案していたが結論は明らかだった。
こんなチャンスはもしかしたらもう無いかもしれないのだ。
静かにベッドに歩み寄ってそっと上掛けをずらし身体を蘭の隣に
滑り込ませると蘭のパジャマのボタンをひとつづつ外していった。


なんかふわふわした気分で気持ちいい。
ぼんやりした意識の中で蘭は甘い痺れと心地よさを感じていた。
「んっ・・」思わず漏らした自分の声によって意識が覚醒していく。
他人の手が胸を揉んでいる。耳の後ろで暖かい濡れたものが蠢いている。
「目が覚めたかい、蘭」耳たぶを甘噛みしながらそいつが言った。
聞き覚えのある声だ。「し、真一?」
真一はゆっくり顔を上げて欄と見つめ合った。
「しばらくぶりだったね」そう言う間も真一の手は休まず動いている。
「ちょっと、何してるのよ!」抵抗しようとした瞬間、蘭の抗議は
真一の唇に塞がれてしまった。
蘭の口腔内を探索する真一の舌は貪欲だった。
我が物顔に蹂躙する舌に次第に蘭は溺れていった。
真一の指が蘭の胸の頂を撫ではじめ、蘭の脳の中に霞を広げていく。
真一の唇が唇から頬へ、それから首筋へと移動していって蘭は喘ぎを
漏らした。羽のように軽いキスが下に移動していく。
「蘭の胸はちっちゃいな」言葉が蘭の脳に届く前に真一の唇がその頂に
たどり着いた。唇で吸い上げながら舌で弾かれると驚く程強い快感が走った。「文句を言ってるんじゃないよ。味は最高だ」
片方を唇に含みながらもう片方を指でつまんでくにくにと転がしている。
空いた手が身体の下の方への探索を始めていた。
「あっっ、いやっ!」喘ぎながら蘭が弱く抗おうとした。
真一の肩をつかんだ蘭の手に気づいて、真一は蘭の両手首を拘束した。
片手で蘭の頭の上にその腕を上げさせる。
「何が厭なのかな?」蘭の頬に掌をあてて、親指でふっくらして微かに
震える唇を撫でながら目を合わせ言った。
「話なら、いつも電話でしているだろう?二人きりの時しかできないことを
したくないの?それとも僕じゃ厭っていう意味?」
蘭の大きな瞳が潤んで、一瞬目蓋が下りてから真一の目を凝視する。
永遠とも思える瞬間のあと、かすれる囁きのような声で蘭が言った。
「厭じゃないよ」
「よかった」
ため息を漏らして真一はゆっくり唇を重ねた。
少しづつ角度を変えてキスしながら真一は手を蘭のパジャマのズボンの中に
進入させていった。
今まで誰にも触れさせたことのないそこは、すっかり潤っていた。
真一の指が届くとくぷっっと蜜が湧き出るのがわかった。
蜜にまみれた指で上部の小さな突起に円を描くと蘭の身体が弓のように反った。真一が触れているところから熱が大きくなっていく。
「うっ、ううっ」唇を塞がれていては叫ぶこともできず、両手は拘束されたままだ。やがて蘭の身体は硬直したあと小刻みに震えた。
びくん、びくんと痙攣を繰り返すそこから手を離して、真一は蘭をぎゅっと
抱きしめた。「初めてイッた感想はどう?」いたずっらっぽい顔で蘭を
見ている。蘭は必死で呼吸を整えてから一言「ばか・・」と言った。