619 夢のなかの騎士 リンダ・ハワード

夢のなかの騎士 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

夢のなかの騎士 (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

フランスの発掘現場で、古文書が見つかり、グレースは翻訳を依頼される。コピーを読みだした途端、グレースは内容に惹き込まれ、仕事に没頭した。
ある日、パソコンの不具合を見てもらうために、近所のパソコンオタクの少年クリスの家を訪ねて数時間を過ごし、自宅に戻ると、来客の存在を知る。疑問を抱え、窓から室内を覗いたグレースは、財団の理事長パリッシュが夫と兄に拳銃を向けているのに驚愕する。
パリッシュは、二人にグレースの居場所を尋ね、古文書の在処を確かめ、そして、二人の頭に銃弾を撃ち込んだ。
グレースは脱兎のごとく逃げたが、もう誰も頼ることができないのがわかっていた。パリッシュは社会的に地位のある男だ。それに、ベットに半裸の男が二人殺されていて、片割れの妻が行方不明とあっては、警察が誰を疑うか、予想がつく。それに、真実を話したとしても、パリッシュに動機はみつからない。彼は殺人を犯さなくても、文書を手に入れることができる立場だったのだから。
グレースは追手をかわし、逃避行を続けながら翻訳を進め、14世紀にテンプル騎士団が、隠匿していた財宝の存在を知った。パリッシュの狙いは、この財宝だ。そして、その財宝の守護者となったナイルこそ、復讐のための鍵だった。


ナイルは、忌々しい女の視線に気付いていた。そして、夢に現れた彼女の肢体は、彼に渇望を感じさせる。
グレースが時間の壁を越え、ナイルの時代に現れた時、二人はお互いの実態に呆然とし、相手への欲望を堪えようとする。
聖典を狙っているなら、どんなに惜しく感じようと、彼女を殺すしかない。しかし、秘密の部屋に忍び込んだグレースを組み敷いて、ナイルは殺戮より欲望を選んだ。
ナイルとのセックスに溺れたあとで、夫以外の相手を受け入れた自分に、グレースは言いようのない哀しみや苦しみ、怒りに襲われて泣きじゃくった。
グレースは、やがて泣きやむと、全てを語った。パリッシュを滅ぼすために、その力が欲しい。しかし、ナイルは、その力が使えるのは守護者である自分だけだと言った。
ナイルは、グレースと共に現代に現れ、パリッシュを滅ぼし、去って行った。
グレースは、クリスの助力を得て、財団に残された記録を消去したが、相変わらず彼女は逃亡者だった。
ひと月後、妊娠に気付いたグレースは、愛する男と共に生きることを決意し、もう一度過去にさかのぼる。
グレースの妊娠を知って、ナイルは笑った。守護者としての規律に縛られていたものが、もう選べなくなったと。ナイルは神に感謝し、即座に彼女を妻にした。


ちょっと荒唐無稽ではありますが、すごくホットです。
筋肉隆々の大男で、巨根がリンダさま、お好きですね。そして、傲慢で、畏怖を感じさせる精力的な男なのに、一途。・・・そんな男、居るわけないけど。