458 復讐は愛にも似て ジュリア・ジェイムズ

復讐は愛にも似て (ハーレクイン・ロマンス)

復讐は愛にも似て (ハーレクイン・ロマンス)

ヴィッキーは父亡きあと、可愛がってくれた叔父の会社を救うため、便宜上の結婚を承諾した。夫となったテオは、社交的な場面での妻の役目に満足しているように見えたが、ヴィッキーは、ある日彼の目に宿る欲望に気付いてしまう。誘惑に慣れたテオに、なす術なくベッドに運ばれたヴィッキーは、翌朝我に返り、その場から逃げだした。義兄ジェムと抱擁する姿を写真に撮られたヴィッキーは、浮気をしたとテオに責められたが、弁解することなく離婚に応じた。だが、離婚時に払うと言われていた金額を、テオが払おうとせず、彼女からの連絡を避けたために、ヴィッキーは窮地に陥る。父が残した慈善団体には、多額の資金が必要だった。ヴィッキーは、テオに自己談判するため、彼のオフィスを訪ねたが、テオは冷淡だった。もう万策が尽きた。落胆するヴィッキーは、思いがけなくテオに呼び出され、セックスと引き換えに支払いをするという条件を聞かされる。彼の考える浮気な女を演じよう。感情にフタをして、ヴィッキーはテオに身体を任せた。数日後、テオは小切手を渡して、去って行ったが、ヴィッキーは彼を傷つけたいという思いに勝てず、オフィスで受け取った金の使い道をテオに話した。恋人の家を改築する費用に充てると聞いて、テオは送金を凍結させた。だが、ジェムは憤慨し、ヴィッキーに内緒でテオを訪ね、妹の金を払うのを拒むのはどうしてだと問い詰めた。テオは即座にヴィッキーの家を訪れ、理由を聞いた。兄を恋人と誤解させたまま離婚したこと、初めて愛し合った直後、逃げ出したこと、そして、彼に抱かれることを拒まなかったことを。ヴィッキーは自身の痛い真実を話すことはできず、ただ涙を流した。テオは、やっと真実に気付く。話そうとしないヴィッキーに、テオは静かに告げた。愛していると。テオが促すと、ヴィッキーも彼を愛していると囁いた。


力強く、男らしいテオに惹かれる気持ちを、自分を守るために否定しようとする女と、激しい嫉妬に焼かれ、愛し合った直後捨てられて傷ついた心に気付かなかった傲慢な男の話。二人は愚かな選択をし、忘れようとする。兄さんが一役噛まなきゃ、ハッピーは訪れなかったわね。よかった、よかった。