リタは、恋に破れ祖国を離れて久しい妹を呼び戻したかった。姪に父親に会うチャンスを与え、妹に愛する男と向き合う決意を与えたい。リタは架空の結婚式を計画し、帰って来た妹は失ったと思っていた恋をモノにした。あとは、結婚式で花婿に捨てられた花嫁を演じるだけだ。しかし、祭壇に立つ
サキールを見てリタは茫然とする。居ないはずの彼に秘密を知らせたのは誰?
サキールは祖国で商談があり、信用を得るために妻を必要としていた。これはビジネスだ。祖国での商談を終えて、帰国したら結婚は解消して仕事のパートナーとなる。だが、
サキールはリタを雇い入れた時から、彼女が欲しかった。リタは
サキールに付き添ううちに、彼の秘めた欲望と恐れに気付く。リタもまた、
サキールを求めていた。首長である
サキールの兄ザヤドは、
サキールを歓迎したが、
サキールの態度は冷ややかだった。
サキールにとって家族と呼べるのは、兄一人だったが、
サキールは大事に思う人間を失う痛みを恐れ、兄を拒絶していた。リタは、
サキールに捨てた祖国を取り戻し、恐れを忘れさせたいと強く思った。しかし、
サキールはザヤドとリタ二人に怒りをぶつけ、落胆したリタは
サキールの元を去る決心をする。ザヤドは
サキールに決闘を申し込み、二人は互角の戦いをして和解した。ザヤドの諌めを聞いて、
サキールはリタを手放す愚かさを知る。
サキールはリタを追い、彼女に愛を告白した。
架空の花婿にサキールをあてはめたのは、秘かな願望があったため。そして、夢が叶うという話。